溶射 (高機能・高品質を実現した各種溶射製品)

超硬、アルミナ、酸化クロム、ステライトをはじめ、多様な溶射方法でニーズに答えます。

溶射概要

溶射は、製品の寸法変化を修正する肉盛りや耐食性、耐摩耗性なとを構造部材に付与する目的で、現在さまざまな分野で利用されています。溶融・噴射する粉末の成分も、各種金属、セラミックス、複合材など多岐にわたり、溶射の応用範囲はさらに広がっています。当社の溶射製品は、その粉末に独自で開発した溶射用合金粉末・サーフェロイを使用。従来の溶射製品に比べ、耐摩耗、耐食、耐高温酸化性などが飛躍的に向上しました。また、粉末成分は高純度ニッケルやコバルトが中心ですが、耐熱性、断熱性にすぐれたセラミックス溶射による製品も供給可能です。
溶射の受託加工についてはお気軽にお問い合わせください。

主な特長

  1. 基材との密着度が高い。
  2. 皮膜の硬さが高く、安定している。
  3. 機械的強度、耐衝撃性にすぐれている。

用途

  1. ボーリング機械用スリーブ
  2. ポンプ部品スプール、粉粒体機器用部品
  3. 遠赤外線ヒーターパネル
  4. 溶鉱炉用NG先端ノズル、熱間押出ダイス
  5. コールドダイキャストマシンプランジャチップ
  6. 押出機セグメントスクリュー
  7. その他各種機械部品

物理的および機械的性質

1.自溶性合金 (JIS H 8303)(JIS H 8303)

種類 化学成分 % 硬さ(HRC)
  Ni Cr B Si C Fe Co Mo Cu W  
MSFNi1 残部 0〜10 1.0〜2.5 1.5〜3.5 0.25以下 4以下 1以下 - 4以下 - 15-30
MSFNi2 残部 4-3 4-4 2.0〜3.5 0.5以下 4以下 1以下 - - - 30-40
MSFNi3 残部 5-3 5-4 3.0〜4.5 0.4〜0.7 5以下 1以下 - - - 40-50
MSFNi4 残部 12〜17 2.6〜4.0 3.5〜5.0 0.4〜0.9 5以下 1以下 4以下 4以下 - 50-60
MSFNi5 残部 15〜20 3.0〜4.5 2.0〜5.0 0.5〜1.1 5以下 1以下 - - - 55-65
MSFCo1 10〜30 16〜31 1.5〜4.0 2.0〜4.5 1.5以下 5以下 残部 7以下 - 10以下 35-50
MSFCo2 0〜15 19〜24 2.0〜3.0 1.5〜3.0 1.5以下 5以下 残部 - - 4〜15 50-65
種類 配合比 % 硬さ (HRC)
  WC MSFCo1 MSFNi4またはMSNi5  
MSFWC1 20〜80 残部 - 45-5
MSFWC2 20〜80 - 残部 55-65

備考:MSFWC2は、Co10%以下を含むことは差し支えない。

2.ステライト合金

品種 Co(%) Cr(%) W(%) C(%) Fe(%) 比重 溶融点度 比熱 熱膨張係数
50~600度
摩擦係数(琢摩面) 抗張力kg/mm2 硬度HRC
No.1 Bal 30.0 12.0 2.5 3.0Max 8.48 1.285 0.094 13.8×10
(-6乗)
0.07〜0.13 33 54
No.12 Bal 29.0 8.0 1.35 2.5Max 8.47 1.285 0.098 14.4×10
(-6乗)
0.07〜0.13 53 47
No.6 Bal 28.0 4.0 1.0 3.0Max 8.42 1.290 0.101 14.9×10
(-6乗)
0.07〜0.13 74 44
No.4 Bal 30.0 14.0 0.6 3.0Max 8.79 1.302 0.101 14.3×10
(-6乗)
0.07〜0.13 108 44

3.炭化物系サーメット  ※H.V.O.F(高速溶射プロセス)用粉末

一般名称 製法 成分例(%) 硬さ※(Hv(0.3))
    W C Co Ni Cr Fe  
WC-12Co 造粒一焼結 Bal. 5.3 12.0 <0.5 - <0.5 >1100
WC-12Co 焼結一粉砕 Bal. 4.3 12.0 <0.5 - <1.0 >1100
WC-17Co 造粒一焼結 Bal. 5.3 17.0 <0.5 - <0.5 >1100
WC-10Co-4Cr 造粒一焼結 Bal. 5.2 10.0 <1.0 4.5 <0.5 >1050
WC-12Ni 造粒一焼結 Bal. 5.3 <0.5 12.0 - <0.5 >1100
WC-20CrC-7Ni 造粒一焼結 Bal. 6.0 - 7.0 20.0 <0.5 >1000
WC-20CrC-7Ni 焼結一粉砕 Bal. 5.4 - 7.0 20.0 <1.0 >1000
Cr3C2-25NiCr 造粒一焼結 - 9.5 - 20.0 Bal. <0.5 >800
Cr3C2-25NiCr 混合 - 9.6 - 20.0 Bal. <1.0 >700

4.セラミックス

種類 主要成分 特徴
グレーアルミナ Al2O3+3%TiO3 耐摩耗性、耐食性、断熱性、低溶融金属濡れ性
ホワイトアルミナ Al2O3 絶縁性、耐磨耗性、耐食性、断熱性、低溶融金属濡れ性
ジルコニア ZrO2 低溶融金属濡れ性、耐高温酸化性
酸化クロム Cr2O3 耐摩耗性、耐熱性、耐酸化性の向上
酸化チタン TiO3 耐熱性、絶縁性、耐酸化性、高遠赤外線放射性

溶射方法別適合表

溶射法 Ni基自溶合金 Co基自溶合金 Fe基自溶合金 Ni基合金 Co基合金 炭化物サーメット 溶接棒
溶射溶融法 - - - -
プラズマ溶射 -
高速フレーム溶射(HVOF) -
HIP -
肉盛り - - - - - -